高話たかばなし)” の例文
先刻、湯槽に降りて来る前、二階の大広間の脱衣場で、番茶をすすり、塩せんべいをかじりながら、清七と高話たかばなしをした。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
日頃内輪同様にしている二三の人の顔もそこに見えた。不断養父等の居間にしている六畳の部屋に敷かれた座布団も、大概ふさがっていた。中には濁声だみごえ高話たかばなしをしている男もあった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そこに漂う何かしら隠微いんびな魂が高話たかばなしを抑えつけて、囁き声にしてしまうものである。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ちと具合ぐあひわるいので、三にん其所そこつてると、それとつた男子達をとこたちは、きこえよがしに高話たかばなしである。何處どこやつだか、んな大穴おほあな穿けやアがつた。今度こんど見附次第みつけしだい叩殺たゝきころしてやるといふ血腥ちなまぐさ鼻息はないき
座敷の方は、正木のお祖父さんと、俊亮の二人が、何のこだわりもなさそうに高話たかばなしをするだけで、ほかの人たちは、いやに沈んだ顔をしていた。次の間は、これに反して、おそろしく賑やかだった。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
高話たかばなしして、やがて去った。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)