馬頭めず)” の例文
……まん中に呪い殺したい奴の人形を書き、右左から牛頭ごず馬頭めずと二人の亡者に両手を引かせた絵をかく。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
死骸になっての、空蝉うつせみの藻脱けたはだは、人間の手を離れて牛頭ごず馬頭めずの腕に上下からつかまれる。や、そこを見せたい。その仮髪かつらぢゃ、お稲の髪には念を入れた。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
体は日に増して恢復して行ったが、心の苦悶は肉体と反対に日夜、慚愧ざんき牛頭ごず馬頭めず苛責せめられた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又極楽の写真を見た事もございませんから当にはなりませんが、併し悪い事をすると怨念おんねんが取付くから悪事はするな、死んで地獄へくとの如く牛頭ごず馬頭めずの鬼に責められて実にどうもくるしみをする
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
浅黄あさぎの帯に扱帯しごきが、牛頭ごず馬頭めず逢魔時おうまがとき浪打際なみうちぎわ引立ひきたててでもくように思われたのでありましょう——わたくしどもの客人が——そういう心持こころもちで御覧なさればこそ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「やい、牛頭ごず馬頭めず
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
疣々いぼいぼ打った鉄棒かなぼうをさしにないに、桶屋も籠屋かごやも手伝ったろう。張抜はりぬきらしい真黒まっくろ大釜おおがまを、ふたなしに担いだ、牛頭ごず馬頭めずの青鬼、赤鬼。青鬼が前へ、赤鬼が後棒あとぼうで、可恐おそろしい面をかぶった。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
牛頭ごず馬頭めずだ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)