飲干のみほ)” の例文
旧字:飮干
「お帰りになれなかったら、そこへお休みなさい。かまいません。」と君江は湯呑半分ほどのウイスキイを一口に飲干のみほす。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで、赤彦君はみんなに茶を饗することを命じた。その間に赤彦君は冷水を音させながら飲干のみほして、『実にうまい。これが一等です』などとも云つた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ポケットに忍ばせていたメントール酒の残りをグッと一息に飲干のみほして、背筋をい上る胴震いと共にホーッと熱い呼吸を吹いた。わななく膝を踏み締めて、軍医大佐と共に横の方へ退いた。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
新田がひと息に飲干のみほすのを見ながら、宗方博士は力抜けのした声で
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
休茶屋やすみぢやゝ女房にようぼふちの厚い底のあがつたコツプについで出す冷酒ひやざけを、蘿月らげつはぐいと飲干のみほしてのまゝ竹屋たけや渡船わたしぶねに乗つた。丁度ちやうどかは中程なかほどへ来たころから舟のゆれるにつれて冷酒ひやざけがおひ/\にきいて来る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
休茶屋の女房にょうぼふちの厚い底の上ったコップについで出す冷酒ひやざけを、蘿月はぐいと飲干のみほしてそのまま竹屋たけや渡船わたしぶねに乗った。丁度河の中ほどへ来た頃から舟のゆれるにつれて冷酒がおいおいにきいて来る。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蘿月宗匠そうしょうは冷えた茶を飲干のみほしながら、「長吉はどうしました。」
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蘿月宗匠らげつそうしやうは冷えた茶を飲干のみほしながら、「長吉ちやうきちはどうしました。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)