風向かざむき)” の例文
... 貴嬢あなたもよくその事を御存知でしょう」と語る処いつわりならねばお登和嬢もなるほどと思い「ホンにそう申せば大原さんは実意なお方で」と少しずつ風向かざむきが直って来る。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
背後うしろで雨戸を閉めかけて、おじい、腰が抜けたか、弱い男だ、とどうやら風向かざむきさそうなので、宰八があざけると、うんにゃ足の裏が血だらけじゃ、歩行あるくあとがつく
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし風向かざむきで見ると火は本邸の方に向っている。何より先にこの危険を防がなければならない。伯爵も出てきてみんな一生懸命で火を消し止めたのは午前二時であった。
空は晴れても、冬は日あしが短うて、いつとなく黄ばみかけると、早くも夕焼方の風向かざむきとなる。縁に出て、ぽつねんと眺めてゐると、何ともないやうでゐて心ぼそさが身に染みる。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
風向かざむきちがうたわ、如何どうした暴風雨あらしぢゃ? ロミオがころされて、そしてチッバルトもおにゃったか? 大事だいじ從兄いとこも、大事だいじなロミオどのも? もしさうならば、大審判日おほさばきのひ喇叭手らっぱしゅ
『お大さん、何だか風向かざむきが惡いね。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
風向かざむきに見えて羽ばたく稲雀さやぐ穂づらに分き吹かれつつ (一〇八頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夢でなきかと疑うばかり「だがしかし中川君ばかり承諾されても御本人のお登和嬢が何と言われたろう。最初の風向かざむきでは少々心細かったが御本人も承諾されたろうか」中川「ウム、妹も別段に異存はない様子だ」大原「別段に異存はない様子だなんぞは少々不確ふたしかだね。御本人が進んで僕の処へ来たいと言う位でなくっては ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
多摩川に砂利あぐる音の風向かざむきをひと日きこえてかんあけずいまだ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
多摩川に砂利あぐる音の風向かざむきをひと日きこえてかんあけずいまだ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
吹くからにつぎつぎと來る白雲のおのづからゆたに移る風向かざむき
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
吹くからにつぎつぎと来る白雲のおのづからゆたに移る風向かざむき
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春の田のやはら浅茅生風向かざむきを色走りつつ子らが追ひがてぬ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
風向かざむきに移ろふ雲のまろがりは光厚うしてしろき二塊ふたくれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
風向かざむきに移ろふ雲のまろがりは光厚うしてしろき二塊ふたくれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)