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陽溜
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ひだま
ふりがな文庫
“
陽溜
(
ひだま
)” の例文
一朶
(
いちだ
)
の白雲が漂うかのような法然の眉、のどかな
陽溜
(
ひだま
)
りを抱いている
山陰
(
やまかげ
)
のように、
寛
(
ひろ
)
くて風のないそのふところ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫妻はどちらも
白髪
(
しらが
)
になっていて、着ぶくれた躯の背をまるくし、
陽溜
(
ひだま
)
りでせっせと割り竹を
捌
(
さば
)
いていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
庭の一所に
陽溜
(
ひだま
)
りがあって、そこだけ雪がとけていて、笹の葉が微風に揺れている。その側の梅の古木の根もとを、みそさざいが一羽行ったり来たりしている。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
江戸の街はまだ
屠蘇
(
とそ
)
機嫌で、妙にソハソハした正月の四日、平次は回禮も一段落になつた安らかな心持を、其
陽溜
(
ひだま
)
りに持つて來て、ガラツ八の八五郎を相手に無駄話をして居ると
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
杖の上に
白髯
(
はくぜん
)
の
顎
(
あご
)
を乗せている老翁や、心
憶
(
おぼ
)
えに筆写している書生風なのや、女や労働者や物売りやら、なんとも雑多な
陽溜
(
ひだま
)
りの
匂
(
にお
)
いが
蒸
(
む
)
れ立っている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
夫妻はどちらも
白髪
(
しらが
)
になっていて、着ぶくれた
躯
(
からだ
)
の背をまるくし、
陽溜
(
ひだま
)
りでせっせと割り竹を
捌
(
さば
)
いていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平次は春の
陽溜
(
ひだま
)
りにとぐろを巻きながら、相変らず気楽なことを言っているのです。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
足利の領下でも、わけて
飢饉年
(
ききんどし
)
などには、痩せ馬なみに市で売られる子が野菜籠の中や
陽溜
(
ひだま
)
りの辻に、群れとなって曝されるのはめずらしいことではなかった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よく晴れた二月の晝下り、今朝の寒さは忘れてしまつたやうな、南縁の
陽溜
(
ひだま
)
りに煙草盆を持出して、
甲羅
(
かふら
)
を温ためながら、浮世草紙などを讀んでゐる、太平無事の平次の表情でした。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの崖下は
陽溜
(
ひだま
)
りで暖かいんでしょう、
撫子
(
なでしこ
)
も咲いていましたよ」
薊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
麦餅
(
ばくへい
)
が食いたいな」と食慾をつぶやいたりして、
陽溜
(
ひだま
)
りに、くるま座を作って、談笑していた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脅かすやうなことは、何一つありやしませんよ、長者丸の田圃の上には、白い雲がふんわり浮いて、水田の中の
陽溜
(
ひだま
)
りには、蛙の玉子が一パイ、——あとは何んにもありやしませんよ
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その門前には、造花の
蓮華
(
れんげ
)
だの、
白張
(
しらはり
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
だのが出ていて、小紋の短か羽織を着た
田舎人
(
いなかびと
)
だの、編笠をかぶった紋服の人々だのが、大勢、
陽溜
(
ひだま
)
りの往来に
佇立
(
たたず
)
んでいた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脅かすようなことは、何一つありゃしませんよ、長者丸の田圃の上には、白い雲がふんわり浮いて、水田の中の
陽溜
(
ひだま
)
りには、蛙の玉子が一パイ、——あとは何んにもありゃしませんよ
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
江戸の街はまだ
屠蘇機嫌
(
とそきげん
)
で、妙にソワソワした正月の四日、平次は回礼も一段落になった安らかな心持を、そのまま
陽溜
(
ひだま
)
りに持って来て、ガラッ八の八五郎を相手に無駄話をしていると
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
陽
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
溜
漢検準1級
部首:⽔
13画
“陽”で始まる語句
陽
陽炎
陽気
陽光
陽氣
陽脚
陽焦
陽火
陽射
陽暦