降積ふりつ)” の例文
聞てよくこそ心付たれ我はばゝの事に心付ざりし隨分ずゐぶん澤山たくさんつかはせと有ければ寶澤は大いによろこ早速さつそく酒を徳利へうつさかなをば竹の皮につゝ降積ふりつもりたる大雪おほゆき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゆふ日あざやかにぱつとあかねさして、眼もあやに躑躅の花、ただくれないの雪の降積ふりつめるかと疑はる。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雪は彼女かれの上に容赦なく降積ふりつんで、さながら越路こしじの昔話に聞く雪女郎ゆきじょろうのようなていになった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
巡査はたいかわして其利腕そのききうでを掴んだが、降積ふりつむ雪に靴を滑らせて、二人は折重おりかさなって倒れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
明治廿三にじゅうさん年の二月、父と共に信州軽井沢に宿やどる。昨日から降積ふりつむ雪で外へは出られぬ。日の暮れる頃に猟夫かりうどが来て、鹿の肉を買つてれと云ふ。退屈の折柄おりから、彼を炉辺ろへんに呼び入れて、種々いろいろの話をする。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)