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鉄拳
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てつけん
若者は何のと金剛力を出したが、
流石は若者の元気に
忽地重右衛門は組伏せられ、火のごとき
鉄拳は
霰とばかりその面上頭上に落下するのであつた。
いつも
画学と習字にかけては
全級誰も及ぶものゝない
長吉の
性情は、
鉄拳だとか
柔術だとか
日本魂だとか
云ふものよりも
全く
異つた他の方面に傾いてゐた。
これは
越前名代の
強力、
一日狩倉に
出て
大熊に
出逢ひ、
持てる
鎗は
熊のために
喰折られ
已む
事を
得ず
鉄拳を
上げて
熊をば一
拳の
下に
打殺しこの
勇力はかくの
如くであると
其の
熊の
皮を
馬標とした。