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遽
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あわた
ふりがな文庫
“
遽
(
あわた
)” の例文
何んとなく此界隈を
睥睨
(
へいげい
)
して居る感じですが、今朝はさすが
遽
(
あわた
)
だしく、人の出入が、町の人達の好奇と
苛立
(
いらだ
)
たしさをかき立てて居ります。
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二年の
後
(
のち
)
には、
遽
(
あわた
)
だしく往返する
牽挺
(
まねき
)
が
睫毛
(
まつげ
)
を
掠
(
かす
)
めても、絶えて瞬くことがなくなった。彼はようやく機の下から
匍出
(
はいだ
)
す。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
どういう
火急
(
かきゅう
)
な事情が起って、こうまで
遽
(
あわた
)
だしく船から去って行かなければならなかったか? 前後の事情からおすと二十三人が船を去ったのは
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
街の上には、いつものように
黄昏
(
たそがれ
)
の
遽
(
あわた
)
だしさが流れて、昼の銀座から、第二の銀座に変貌しつつあった。
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
モッフが重い
歩調
(
あしどり
)
で波止場の方へ帰ってゆくと、ガルールは
遽
(
あわた
)
だしく場末の汚い街へ姿を消した。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
▼ もっと見る
その時一人の男
遽
(
あわた
)
だしく驅け入りて、門口に立ちたる我を
撞
(
つ
)
きまろばし、扉をはたと閉ぢたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
果して棭斎が此旅をなしたとすると、それは余程
遽
(
あわた
)
だしい旅であつたと見なくてはならない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
余が自ら我が声を怪みて身辺を見廻りし頃には判事も警察官も目科も書記も皆余の
周囲
(
まわり
)
に立ち「何だ「何事だ「
何
(
ど
)
うした「
何
(
ど
)
うしました」と
遽
(
あわた
)
だしく
詰問
(
つめと
)
う声、矢の如く余が耳を突く
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
遽
(
あわた
)
だしくはいって来た助手の村尾健治が、ドアーを開けながら、いつになく弾んだ声でいった。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
斯く云う折しも入口の戸を
遽
(
あわた
)
だしく引開けて入来るは彼の谷間田なり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
福山藩士に
稲生
(
いなふ
)
某と云ふものがあつた。其妻が難産をして榛軒が
邀
(
むか
)
へられた。榛軒は忽ち
遽
(
あわた
)
だしく家に還つて、妻志保に「
柏
(
かえ
)
の著換を皆出せ」と命じ、これを
大袱
(
おほぶろしき
)
に
裹
(
つゝ
)
んで随ひ来つた僕にわたした。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
遽
漢検1級
部首:⾡
17画
“遽”を含む語句
急遽
遽然
遽々然
其遽
大遽
遽伯玉
遽色
遽雨
遽驚