通掛とおりかか)” の例文
「いかさま、そうもござりましょう。実はせんだって通掛とおりかかりに見ました。聖、何とやらある故に、聖人と覚えました。いや、老人粗忽そこつ千万。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日きょうこのまちなにかのようでちょっと通掛とおりかかったので、この場所ばしょ立寄たちよったとのことで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、通掛とおりかかりに、めし屋へ声を掛けてきました。が、ぱっと燃えてる松明たいまつの火で、おくれ毛へ、こう、雪の散るのが、白い、その頬をぐようで、鮮麗あざやかに見えて、いたいたしい。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往年いんぬるとし、雨上りの朝、ちょうどこのあたり通掛とおりかかった時、松のしずくに濡色見せた、紺青こんじょうの尾をゆたかに、の間の蒼空あおぞらくぐり潜り、かささぎが急ぎもせず、翼で真白まっしろな雲を泳いで、すいとし、すいと伸して
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その蜘蛛の巣を見て、通掛とおりかかりのものが、苦笑いしながら、声を懸けると、……
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)