輦轂れんこく)” の例文
輦轂れんこくもと、一日もはやく、賊を潰滅して、かみを安んじ奉り、四民の安堵あんどをはかるのは、われらの任と信ずるものである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北海道を開墾するとか、或は移民地を探検する——馬鹿を吐けッ! 内地の本土の内で、人民の立派な土地を失う仕事をしている者が輦轂れんこくの下に在る!
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)
近来輦轂れんこくの下、私に殺害等の儀これあり、畢竟ひっきょう言語壅蔽ようへい諸司不行届しょしふゆきとどきの致す所と深く恐れ入り候次第に付、上下の情実貫通し皇国の御為御不為に係り候儀は勿論
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
たとえば福田行誡ぎょうかい、原坦山、島地黙雷、南条文雄、村上専精せんじょう、森田悟由、釈雲照、勝峯大徹、織田得能らのごとき、これらの人々は輦轂れんこくのもとに勢力を有しておった。
輦轂れんこくの下、将軍の御膝元での兵乱としては、いかに足利時代にしても、まことに稀有の大乱で、これを眼前に置きながら制馭せいぎょし得なかった将軍の無能は、ここに遺憾なく曝露され
先に市民が特別市制を廃して独立市政を布かんと運動するや、自ら揚言して曰く、輦轂れんこくの下、首都の地、学芸の淵叢、政権の中心たる東京にして、自治の権を許されざるの義あるべからずと。
自由の使徒・島田三郎 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
とも輦轂れんこくもとに住んで、親しく政府の施設を見ようと云ふのである。二人の心底には、秕政ひせいの根本をきはめて、君側くんそくかんを発見したら、たゞちにこれを除かうと云ふ企図が、早くも此時からきざしてゐた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
輦轂れんこくの下巡邏じゅんらを見ざること数日に及べり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
輦轂れんこくもと、一日とて、守備なくてはかないませぬ。しかも、戦乱の余燼よじんんだかに見えるのは、洛中だけのこと。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俺の命令だと云うて——輦轂れんこくの下をもはばからず不埒ふらちな奴等だ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
といって、彼は、室町将軍の愚を学んで、輦轂れんこくの下、京都に幕府的な旧態を構成しようなどとは思いもしない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輦轂れんこくの下の人心も知っておきたいし、王城内外のじっさいも見ておきたい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)