よろめ)” の例文
武士が相手に背後うしろを見せるとは天下の耻辱になる奴、かえせ/\と、雪駄穿せったばきにて跡を追い掛ければ、孝藏は最早かなわじと思いまして、よろめく足を踏みしめて
老爺は少しよろめいたが、ウムと踏張ツたので、學生は更にはねツ返されて、今度は横つ飛に、片足で、トン、トンとけし飛ぶ……そして壁に打突ぶツつかツて横さまに倒れた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
宮はをんなともしらせ、自らは貫一の手を牽かんとせしに、彼はよろめきつつ肩にすがりてつひに放さざりければ、宮はその身一つさへあやふきに、やうやうたすけて書斎にりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遁出にげだすのを、もう是までと覚悟を決めて引戻す長二の手元へ、お柳は咬付かみつき、刄物をろうと揉合もみあう中へ、よろめきながら幸兵衞が割って入るを、お柳が気遣い
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宮は猶脱なほのがるるほどに、帯はたちまけてあしまとふを、右に左に踢払けはらひつつ、つまづきては進み、行きてはよろめき、彼もはや力はきたりと見えながら、如何いかん、其処そこに伏してまた起きざる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)