跡戻あともど)” の例文
ふと自分の内縁の女房にして居るラサ府の婦人を想い出して阿母さんの方を打棄うっちゃって置いてまた跡戻あともどりをして来たという頓馬とんまな兵隊なんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかし、ほかには渡瀬という家がなさそうだから、跡戻あともどりをして、その前をうろついていると、——実は、気がおくしてはいりにくかったのだ——
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
なんとせんみち間違まちがへたり引返ひきかへしてとまた跡戻あともどり、大路おほぢいづれば小路こうぢらせ小路こうぢぬひては大路おほぢそう幾走いくそうてん幾轉いくてんたつゆきわだちのあとながひきてめぐりいづればまた以前いぜんみちなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また沢山な賄賂わいろを使い、その長官の面前で直接に取調べを受けて一通の書面を貰い、その書面を持ってまた跡戻あともどりをしてトモ・リンチェンに帰って来なければならぬ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)