足踏あしぶ)” の例文
猛獸まうじう毒蛇等どくじやとう危害きがいきわめておほければ、けつして足踏あしぶみしたまふな、大佐たいさ夕刻ゆふこくかへつて、ふたゝ御目おめにかゝるし。
あらためていうまでもなく、ここは御岳みたけのお止山とめやまで、足踏あしぶみのならないところだのに、ふたりはその禁制きんせいを気づかずに、どこの山境やまざかいからまよいこんできたのであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも動かないで刀だけ前後とか上下とかに振るのなら、まだ危険あぶなくもないが、三十人が一度に足踏あしぶみをして横を向く時がある。ぐるりと廻る事がある。膝を曲げる事がある。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
モンクスはいよいよ、覚悟かくごをきめたらしい。足踏あしぶみしながらすきをうかがっていたが、相手がいつまでも動かないので、思いきってだッと飛びみ、富田とみただんほおへものすごい横打スイング
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
「どれ、ぼくさしておくれ……。」と、二郎じろうは、足踏あしぶみをしてたのみました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「お半に逢つて見ませう。主人はあの通り弱氣で、自分の思つたことも言へない人ですが、息子や奉公人達がうるさくて、内儀の葬ひ騷ぎにも、あの女だけは母家へ足踏あしぶみもさせないのですよ」
とみんなは足踏あしぶみをして歌いました。たちまち穂は立派な実になって頭をずうっと垂れました。黒いきもののばけものどもはいつの間にか大きな鎌を持っていてそれをサクサクりはじめました。
「お半に逢ってみましょう。主人はあのとおり弱気で、自分の思ったことも言えない人ですが、息子や奉公人たちがうるさくて、内儀の葬い騒ぎにも、あの女だけは母屋へ足踏あしぶみもさせないのですよ」
ばたんばたんという足踏あしぶみの音、怒号どごう潮罵ちょうばはげしくおこりました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
みんなは足踏あしぶみをして歌いました。
雪渡り (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
正面壁に沿い左向き足踏あしぶみ。
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
学士はしばらく足踏あしぶみをし
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)