贋物いかもの)” の例文
「親分、この四本のかんざしのうち、平打ちの二本だけは真物ほんものの銀だが、あとの二本は真鍮台しんちゅうだいに銀流しをかけた、とんだ贋物いかものですぜ」
「はてな。あれやあほんとの古渡こわたりで、新渡の贋物いかものを売ったわけでもないが。……その梅掌軒ていうなあ汁粉屋しるこやか何かですか」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
池鯉鮒様の名前をかたって、そんな贋物いかものを売っているんですから、今なら相当の罰を受けるでしょうが、昔は別にどうということもありませんでした。
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「赤星め、とうとあの贋物いかものを抱き込むだて。お互に一ぱしの鑑定家めききとなるには、みんな高い税を払つたものさ。」
直ぐと色のさめる贋物いかもの同樣でせう。あなたの、大學の方にだつて隨分不平な學者があるでせう。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
胸をさすって山を下り、甲府お城下へ入り込んだら、憎い奴だ、コレ贋物いかもの、問屋場人足をけしかけて、二度目の喧嘩を売りおったな、それも遁がれて福島入り、もうよかろうと思ったら
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
善「田舎者だと思って馬鹿にして、贋物いかものでも売られてはいかないぜ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
とんだ贋物いかものの豆太郎と、小野塚伊織こと男装の弥生と。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「親分、この四本のかんざしのうち、平打ひらうちの二本だけは眞物ほんものの銀だが、あとの二本は眞鍮臺しんちうだいに銀流しをかけた、飛んだ贋物いかものですぜ」
その一つはこれに木瓜もくかう青貝あをがひ螺鈿らでんしよくが添はつてゐた事で、今一つはこの香炉が贋物いかものであるといふ事であつた。
はてないったい何んのためだ? ちょっと不思議に思ったが、まず用心が肝心と、油断なくかかった小仏峠、コレ贋物いかもの、峠の茶屋で、よくも雲助をかたらって、俺に喧嘩を売りおったな!
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
面白いのは、そこの主人が軸物よりも屏風よりも、もつとひど贋物がんぶつである事だ。——京都の画家ゑかき贋物いかものこさへる事がうまいやうに、京都の女は贋物いかものを産む事が上手だ。いづれにしても立派な腕前である。
贋物 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
面白いのは、そこの主人が軸物よりも屏風よりも、もつとひど贋物がんぶつである事だ。——京都の画家ゑかき贋物いかものこさへる事がうまいやうに、京都の女は贋物いかものを産む事が上手だ。いづれにしても立派な腕前である。
中途半端の贋物いかものばかりでさ。私も何日いつ迄もこんなでは詰らないから、自信のある物をもつてみたいとは思ひますが、何しろ一かねが入つたに連れて、生活くらしの程度を身分不相応に引揚げてるでせう。
骨董屋は贋物いかものらしいてらてらした前額ひたひを撫でながら言つた。