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賣切
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うりき
その
佃煮に
駈けつけた
時は……
先刻に
見着けた
少しばかりの
罐詰も、それも
此も
賣切れて
何にもなかつた。
山北、
山北。——
鮎の
鮓は——
賣切れ。……お
茶も。——もうない。それも
佗しかつた。
で
同人が
嘆息した。——
今でも
金魚麩の
方は
辟易する……が、
地震の
四日五日めぐらゐ
迄は、
此の
金魚麩さへ
乾物屋で
賣切れた。また「
泉の
干瓢鍋か。
車麩か。」と
言つて
友だちは
嘲笑する。