豆絞まめしぼ)” の例文
伊兵衛はこういって、豆絞まめしぼりの上から、フワリと合羽かっぱを引きかぶり、一目散にかけ出しましたが、行くこと数歩。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足は例の通り八本プラリブラリとぶら下っていて、頭には家にって豆絞まめしぼりの手拭てぬぐいで鉢巻をさせてあるのもあり、剣烏帽子けんえぼしかぶっているものもあったりした。
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
私は盲縞めくらじまの腹がけをつけ、黒繻子くろじゅすの襟に「小若、花園」とひなたとかげに染め抜いた浅黄縮緬の祭絆纏まつりばんてんを羽織り、豆絞まめしぼりの手拭を喧嘩かぶりにして、また家を飛び出した。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
その助五郎が明治湯めいじゆの流し場に大胡座おおあぐらをかいて、二の腕へった自慢の天狗の面を豆絞まめしぼりで擦りながら、さっきから兎のように聞き耳を立てているんだから事は穏かでない。
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
盲目地めくらぢあわせに、豆絞まめしぼりの頬冠りで、懐中に呑んで居た匕首あいくちを抜いて脅しながら——俺は黒雲五人男の一人だ、岡っ引の家を承知で入ったが、ジタバタすると命が危ない、良い子だ
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
炭薪すみまきの御用聞でもあるかと見れば、そうでもなかりそうだし、豆絞まめしぼりの頬かぶりをしたままで人に物をこうとは、大胆なような、無邪気なような米友を、二人はしばらく熟視して
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
腰の豆絞まめしぼりを脱って顔を拭くと、彦兵衛は藤吉の傍へいざり寄った。
豆絞まめしぼりの頬かむりを各〻めいめいって、化け物に縁の遠くないつらがまえをつン出していやがらせる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、はじめて、豆絞まめしぼりをつかんで、わきしたの汗を拭きながら
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、豆絞まめしぼりで包んだ顔を寄せてくる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
豆絞まめしぼりの」
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)