もうく)” の例文
旧藩地に私立の学校をもうくるは余輩よはいの多年企望きぼうするところにして、すでに中津にも旧知事の分禄ぶんろくと旧官員の周旋しゅうせんとによりて一校を立て、その仕組、もとより貧小なれども
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
維新の際福井藩の貢進生こうしんせいとなり大学南校に入りそのいまだ業をへざるに先立ちてたまたま起立工商きりつこうしょう会社の巴里パリー博覧会に陳列所をもうくるの挙あるを聞き、陳列所の通弁をかねて売子となり仏国に渡航したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今将軍は外交の難局に当って、旧慣をて、冗費を節することをはかっている。諸侯に土木の手伝てつだいを命ずることをめ、府内を行くに家に窓蓋まどぶたもうくることをとどめたのを見ても、その意向をうかがうに足る。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すなわち国を立てまた政府をもうく所以ゆえんにして、すでに一国の名を成すときは人民はますますこれに固着こちゃくして自他のぶんあきらかにし、他国他政府に対してはあたか痛痒つうようあいかんぜざるがごとくなるのみならず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)