おわ)” の例文
それよりも古くは『吾妻鏡』建久四年富士の狩の条に「御狩おわりて晩に属し、そこにおいて山神矢口等を祭らる」とある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その声いまだおわらざるに、どっと興る歓呼の声は天にとどろき、狂喜の舞は浪を揚げて、船もかえらむずばかりなりし。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『類函』四三八に、王趙かたへ一僧来り食を乞い、食おわって仮寝うたたねする鼾声夥しきをいぶかり、王出て見れば竜睡りいた。
世の慾を捨てし我らなればその芳志こころざしうくるのみ、美味と麁食とをえらばず、わずかに身をば支ふれば足れりといふにぞ、便すなわち稗の麨を布施しけるに、僧は稗の麨を食しおわりてさりたりける。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
余、ために孟子を授け、公孫丑こうそんちゅう下篇を読みおわんぬ。村塾の第一義は、閭里りょりの礼俗を一洗し、ほこに枕しほこを横たうるの風を為すに在り。ここを以て講習は除夕を徹し、いまかつて放学せざるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
太祖顧みて殷に語りたまわく、なんじ老成忠信、幼主を託すべしと。誓書および遺詔を出して授けたまい、あえて天にたがう者あらば、朕がためこれて、と言いおわりてかくれたまえるなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
〈卜しおわりて手を拱いて曰く、恭喜すこれ個の卵をはさむもの、その人甚だ喜び、いわく男子たること疑いなし、産するに及びてかえってこれ一女なり、因って往きてこれを咎む、卜者曰く
迦施かし国白耳竜あり、つねに衆僧と約し、国内豊熟せしむ、皆信効あり、沙門ために竜舎を起す、並びに福食を設け、毎に夏坐げざおわるに至り、竜すなわち化して一少蛇とる、両耳ことごとく白し
ああわが祖は天神あまつかみ母は海神なるにいかで我を陸にも海にも厄するかと言いおわって剣を抜きて海に入り鋤持神さひもちのかみとなるとある、この鋤の字を佐比とむ事『古事記伝』ではつまびらかならず、予種々考えあり