あた)” の例文
旧字:
『待て待て。その仁三郎は待て。今俺が胸のとこをばあたって見たれあ、まだどことのうぬくごとある。まあだ生きとるかも知れん』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
渠はますます狂いて再びわめかんとしたりしかば、白糸はあたるを幸いめったりにして、弱るところを乳の下深く突き込みぬ。これ実に最後の一撃なりけるなり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
烈しい秋の光は源の頬をかすめて馬の鼻面はなづらあたりましたから、馬の鼻面は燃えるように見えました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
めては図と目録とでも一通ひととおり拝見したいものですが、四、五日拝借はかないますまいかと手軽にあたって見たらば、「よし貸そう」と云て貸してれたこそ天与の僥倖ぎょうこう、ソレカラ私はうちもっかえっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)