トップ
>
角張
>
かどば
ふりがな文庫
“
角張
(
かどば
)” の例文
例の
太刀
(
たち
)
のごとくそっくりかえった「朝日」を厚い
唇
(
くちびる
)
の間に
啣
(
くわ
)
えながら、あの
角張
(
かどば
)
った顔を
三
(
さん
)
が
二
(
に
)
ほど自分の方へ向けて
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
図中二女を載せたる小舟の
後
(
うしろ
)
に立てる船頭はその姿勢不自然ならず。荒々しく
角張
(
かどば
)
りたる
橋杭
(
はしぐい
)
の
間
(
あいだ
)
よりは島と水との眺望あり。これ日本の風景中の最も美なるものなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
松は尖つた岩の中から、
真直
(
まつすぐ
)
に空へ生え抜いてゐる。その
梢
(
こずゑ
)
には
石英
(
せきえい
)
のやうに、
角張
(
かどば
)
つた
雲煙
(
うんえん
)
が
横
(
よこた
)
はつてゐる。画中の景はそれだけである。しかしこの幽絶な世界には、
雲林
(
うんりん
)
の
外
(
ほか
)
に行つたものはない。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「問い正すなんて、君そんな
角張
(
かどば
)
った事をして物が
纏
(
まと
)
まるものじゃない。やっぱり普通の談話の際にそれとなく気を引いて見るのが一番近道だよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを
隔
(
へだ
)
てて上野の森は低く
棚曳
(
たなび
)
き、人や車は不規則にいかにも
物懶
(
ものう
)
くその下の往来に動いているが、正面に
聳
(
そび
)
える博覧会の建物ばかり、いやに近く、いやに大きく、いやに
角張
(
かどば
)
って
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
我
(
が
)
を立てて恋をするのは、
火事頭巾
(
かじずきん
)
を
被
(
かぶ
)
って、甘酒を飲むようなものである。調子がわるい。恋はすべてを
溶
(
と
)
かす。
角張
(
かどば
)
った
絵紙鳶
(
えだこ
)
も
飴細工
(
あめざいく
)
であるからは必ず流れ出す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その崩れるものがけっして尋常の土じゃない。堅い石である。しかも
頑固
(
がんこ
)
に
角張
(
かどば
)
っている。ある所などは、五寸から一尺ほどもあろうと云う火打石のために、
累々
(
るいるい
)
と往来を
塞
(
ふさ
)
がれている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし私はこの簡単な一句のうちに、父が
平生
(
へいぜい
)
から私に対してもっている不平の全体を見た。私はその時自分の言葉使いの
角張
(
かどば
)
ったところに気が付かずに、父の不平の方ばかりを無理のように思った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“角張”で始まる語句
角張成阿随蓮