見料けんりょう)” の例文
ヒュ——ドロドロの科学実験はこれじゃこれじゃ……見料けんりょうは大人が十銭、小供なら半額、盲人めくら無料ただ……アッ……そんなに押してはいけない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
白「人相が名人というわけでもあるまいが、皆こうなっている因縁だから見料けんりょうはいらねえから帰りな、ナニちっとばかり置いて行くか、それも宜かろう」
見料けんりょうを払ったじゃねえか」と私は答えた。私の右腕をつかんでた男が、「こっちだ」と云いながら先へ立った。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
このあいだ紙入かみいれを落したとき十二文の見料けんりょうを出して訊くと、水に縁があり、木に縁があるところをさがせというから、一生懸命ドブを引っ掻き廻していると
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お蓮はここへ来た時よりも、一層心細い気になりながら、高い見料けんりょうを払ったのち匇々そうそううちへ帰って来た。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ところが先生の梅花堂流の神易しんえきたるや、見料けんりょうを取って他人に売るものでありますが、少しも自分の運命を救うものではありませんから、こんな時には途方にくれて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
売卜者うらないしゃになっても見料けんりょう五十文は確かに取れる」と、豊吉はいつもの癖でそり返って笑った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見料けんりょう一回につき金三十円なり。ただしそれ以外の祝儀しゅうぎを出さるるも辞退せず。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これに応じて、若干の茶代と見料けんりょうとを置いて一行はこの茶屋を立ち去ります。
「なあに、お前さんの刺青の見料けんりょうさ。気にかけなくったっていいよ」
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
自分の噂をされているとも知らずに、お光は見料けんりょうぜにを置いて易者の店を出た。
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ほれ、見料けんりょうじゃねえ、商売の邪魔料だよ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)