袋物屋ふくろものや)” の例文
問屋とんやって、あのまち袋物屋ふくろものやですか。おおきいみせなのに、そんなかねがないわけでなし、どうしてだろうな。」と、まんきました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両国りょうごく広小路ひろこうじに沿うて石を敷いた小路には小間物屋袋物屋ふくろものや煎餅屋せんべいやなど種々しゅじゅなる小売店こうりみせの賑う有様、まさしく屋根のない勧工場かんこうばの廊下と見られる。
そこで僕の頭に第一に浮かんだ問題は、この大金たいきんるべき相当な財布さいふを得ることであった。ただちに袋物屋ふくろものやに走って種々の財布や紙入れを見た。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
煙草入たばこいれだの、唐桟とうざん小片こぎれだの、古代更紗こだいさらさだの、そんなものを器用にきちんと並べ立てて見世を張る袋物屋ふくろものやへでも行って、わざわざ注文しなければ
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうど母が歿くなる前年、店の商用を抱えた私は、——御承知の通り私の店は綿糸の方をやっていますから、新潟界隈にいがたかいわいを廻って歩きましたが、その時田原町の母の家の隣に住んでいた袋物屋ふくろものや
捨児 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのまんは、いくたびもまちて、袋物屋ふくろものやまえとおりました。そのたびに、ここのいえだなと、おもって、なかをのぞきました。たいてい、きゃくはいっていてなにかていました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)