蜻蛉あきつ)” の例文
淮南わいなんの一水にも、秋色は澄み、赤い蜻蛉あきつが、冴えた空に群れをなして舞う。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この大地は、島山になっております。蜻蛉あきつの形をしたこの島山の胴のまん中に、岩と岩との幅広いれ目の溝があって、そのあわいから、わたくしは生い立たせられつつあるのを見出したのでした」
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
歳月としつきは かなしきかなや うるはしの み子らほろびて 蜻蛉あきつながるる
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
蕗の葉に薄翅うすば蜻蛉あきつ匍ひいでて日の照らしふかし夏はらしも
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
唐黍の花の梢にひとつづゝ蜻蛉あきつをとめて夕さりにけり
長塚節歌集:3 下 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日影も忍ぶ草がくれ、蜻蛉あきつはひとりみ空より
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
振舞ひしる蜻蛉あきつのむれ。
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
はねひろの 蜻蛉あきつのあしも
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
蜻蛉あきつ田づらに疲れて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
いこふ蜻蛉あきつ
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
石のべの紫蘭のさやに來て光る蜻蛉あきつはねさうなりにけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
蜻蛉あきつらを見ず
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
石のべの紫蘭のさやに来て光る蜻蛉あきつはねさうなりにけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蜻蛉あきつより
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
白みどりよく植ゑめし葱の蜻蛉あきつは飛べりはやきそのはね
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
白みどりよく植ゑめし葱の蜻蛉あきつは飛べりはやきそのはね
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
目にとめてしたなる虹の中飛ぶは単葉機我の蜻蛉あきつなす影
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
箸もちて赤き蜻蛉あきつの影慕ふ吾子なりけり豆菊のはな
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)