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虚妄
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きょもう
ふりがな文庫
“
虚妄
(
きょもう
)” の例文
かくして、お前は心の
隅
(
すみ
)
に容易ならぬ矛盾と、不安と、情なさとを感じながら、
益〻
(
ますます
)
高く
虚妄
(
きょもう
)
なバベルの塔を登りつめて行こうとするのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
シラノのごとき
虚妄
(
きょもう
)
な勇武に相当するものが、現実にあり得るだろうか。しかもこの詩人らは、驚天動地の
業
(
わざ
)
を演じていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼等の側から言ってみれば、この「あるがままの現実世界」は、邪悪と欠陥とに充ちた
煉獄
(
れんごく
)
であり、存在としての
誤謬
(
ごびゅう
)
であって、認識上に肯定されない
虚妄
(
きょもう
)
である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
(
虚妄
(
きょもう
)
だ。妄想だ。僕はここにいる。僕はあちら側にいない。僕はここにいる。僕はあちら側にはいない)僕は苦しさにバタバタし、顔のマスクを
捩
(
も
)
ぎとろうとする。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
自分が信じていた幸福が、全部
虚妄
(
きょもう
)
になったのに、猿沢佐介の方はいっこう不幸にもならず、楽しそうに暮している。それが漠然と憎らしく、また
嫉
(
ねた
)
ましいのでした。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
条件に依って思考することを教えたのは近代科学である。だから近代科学は死の恐怖や孤独の恐怖の
虚妄
(
きょもう
)
性を明かにしたのでなく、むしろその実在性を示したのである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
一般人士の
踏
(
ふ
)
む境界を
脱
(
だっ
)
していっそう高き
境界
(
きょうかい
)
に達したならば、夢相も夢物もみな同一の
虚妄
(
きょもう
)
にして、すべてあるところなしと
悟
(
さと
)
らるるであろうことは、あたかも先に掲げた例のとおり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
官営芸術の
虚妄
(
きょもう
)
なるに対抗し、真正自由なる芸術の勝利を立証したるものならずや。
宮武外骨
(
みやたけがいこつ
)
氏の『
筆禍史
(
ひっかし
)
』は
委
(
つぶ
)
さにその事跡を考証叙述して余すなし。余また
茲
(
ここ
)
に多くいふの要あるを見ず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「おれは自分でその実否が慥かめたい」と杉永は云いました、「はいって来る情報はそのたびに変転し、どれが真実かどれが
虚妄
(
きょもう
)
か、だんだん区別がつかなくなるばかりだ、そうは思わないか」
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もしそれ
虚妄
(
きょもう
)
なるがごとき、なんぞ信を開明の民に得るに
足
(
たら
)
ん。いわゆる神教政治なるもの、その実は神教にあらずして、愚民を
哄騙
(
こうへん
)
するの術なり。蛮王、一
詭道
(
きどう
)
をもって万民を
統御
(
とうぎょ
)
せんと
欲
(
ほっ
)
す。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
人の前に私を私以上に立派に見せようとする
虚妄
(
きょもう
)
な心は有り余るほど持っていたけれども、そこに埋めることの出来ない苦痛をも全く失ってはいなかった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けれども彼は、将来いかなるものになるか、将来いかなるものを作るか、それに確信をもっている。彼は時おりその確信を、高慢から出る
虚妄
(
きょもう
)
として、みずからとがめる。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
まだ、日まわりの花はあって、子供もいる、と彼は目にとめて
眺
(
なが
)
めた。都会の上に
展
(
ひろ
)
がる夏空は
嘘
(
うそ
)
のように明るい光線だった。
虚妄
(
きょもう
)
の世界は彼が歩いて行くあちこちにあった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「しかし
虚妄
(
きょもう
)
の伝説だ」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“虚妄”の意味
《名詞》
うそ。いつわり。
横領。着服。
(出典:Wiktionary)
虚
常用漢字
中学
部首:⾌
11画
妄
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
“虚妄”で始まる語句
虚妄者