トップ
>
蘇芳
>
すはう
ふりがな文庫
“
蘇芳
(
すはう
)” の例文
冠せた
半纏
(
はんてん
)
を取ると、後ろから
袈裟掛
(
けさがけ
)
に斬られた伊之助は、たつた一刀の下に死んだらしく、
蘇芳
(
すはう
)
を浴びたやうになつて居ります。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その牡丹は、けふもまだあちこちに咲き殘つてゐる椿、
木瓜
(
ぼけ
)
、
海棠
(
かいだう
)
、木蓮、
蘇芳
(
すはう
)
などと共に、花好きの妻の母が十年近くも一人で丹精した大事な植木です。
行く春の記
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
何
(
なに
)
しろ
一刀
(
ひとかたな
)
とは
申
(
まを
)
すものの、
胸
(
むな
)
もとの
突
(
つ
)
き
傷
(
きず
)
でございますから、
死骸
(
しがい
)
のまはりの
竹
(
たけ
)
の
落葉
(
おちば
)
は、
蘇芳
(
すはう
)
に
滲
(
し
)
みたやうでございます。いえ、
血
(
ち
)
はもう
流
(
なが
)
れては
居
(
を
)
りません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人垣は物の
崩
(
くづ
)
れるやうに、ゾロゾロと倒れてゐるお菊の方に移りましたが、
蘇芳
(
すはう
)
を浴びた蟲のやうに
蠢
(
うご
)
めく
斷未魔
(
だんまつま
)
の娘を何うしやうもありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さう言へば柳吉の前には、存分に血を吸つて
蘇芳
(
すはう
)
に
漬
(
つ
)
けたやうな、木綿物の座布團が一枚あります。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
娘は
庫裏
(
くり
)
に行つてゐる筈——と、廊下傳ひに行つて見ると、廊下の端つこに、手代の宗次郎が、胸を一と太刀、心の臟をゑぐられて、
蘇芳
(
すはう
)
を浴びたやうになつて死んでゐる
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
刺された拍子に轉げ込んだものと見えて、下水の中は
蘇芳
(
すはう
)
を流したやうになつて居ります。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さう言はれるといかにも、手摺の親柱に、
逞
(
たく
)
ましい細引が縛つたまゝ、その端をダラリと下へ下げて居り、その細引が
蘇芳
(
すはう
)
を塗つたやうに、眞赤になつて居るのも不氣味です。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その半面が
碧血
(
へきけつ
)
を浴びて、喉笛には
紛
(
まぎ
)
れもない喰ひ破つた猛獸の齒型。
柘榴
(
ざくろ
)
を叩き潰したやうにゑみ割れて、丸い胸のあたりまで
蘇芳
(
すはう
)
にひたした凄まじさは、何に
譬
(
たと
)
へやうもありません。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうちの幾つかは
庇
(
ひさし
)
の下にハミ出して、それが、お安の頭を打つたのでせう、わけても、
澤庵
(
たくあん
)
の重しほどの三四貫もあらうと思はれる
御影
(
みかげ
)
の三角石は、
蘇芳
(
すはう
)
を塗つたやうに
紅
(
あけ
)
に染んで
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
右手に持つたのは、銀紙貼りの竹光、それは
斜
(
はす
)
つかひに切られて、肩先に
薄傷
(
うすで
)
を負はされた上、左の胸のあたりを、したゝかに刺され、
蘇芳
(
すはう
)
を浴びたやうになつて、こと切れて居るのでした。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな事までわかりやしませんよ。兎も角、見付けた時のお絹坊の死骸といふのは大變だ。
喉笛
(
のどぶえ
)
を噛み切つて
柘榴
(
ざくろ
)
のやうに口を開いてゐる上、顏から胸へかけて、
蘇芳
(
すはう
)
を浴びたやうな血だ」
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
全身
蘇芳
(
すはう
)
を浴びたやうになつて死んで居るのです。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“蘇芳(スオウ)”の解説
Biancaea sappan
Biancaea sappan
スオウ(蘇芳、蘇方、蘇枋)は、マメ科ジャケツイバラ亜科の小高木。インド、マレー諸島原産。
(出典:Wikipedia)
蘇
漢検準1級
部首:⾋
19画
芳
常用漢字
中学
部首:⾋
7画
“蘇芳”で始まる語句
蘇芳染
蘇芳貝