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蔭日向
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かげひなた
ふりがな文庫
“
蔭日向
(
かげひなた
)” の例文
こうした複雑な、
蔭日向
(
かげひなた
)
のある、人と人との戦いの多い、大人の世界の方へ何時の間にか捨吉も出て来たような気がした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
(腰を
屈
(
かが
)
めつつ、
圧
(
おさ
)
うるがごとく
掌
(
たなそこ
)
を挙げて制す)何とも相済まぬ儀じゃ。海の
住居
(
すまい
)
の
難有
(
ありがた
)
さに
馴
(
な
)
れて、
蔭日向
(
かげひなた
)
、雲の
往来
(
ゆきき
)
に、
潮
(
うしお
)
の色の変ると同様。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとを濁さないように——というお松の日頃の心がけは、この際に最もよく現われ、いつも
蔭日向
(
かげひなた
)
のない与八の心情もまた、こういう際によくうつります。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
徳三郎は、思いのほか素直な人間で、利助が付けた目付役らしくもなく、腹から平次に心服して、
蔭日向
(
かげひなた
)
なく働くので、平次もすっかり気をよくしておりましたが——
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平「其の方は新参者でも
蔭日向
(
かげひなた
)
なくよく働くといって
大分
(
だいぶ
)
評判がよく、皆の
受
(
うけ
)
がよいぞ、年頃は二十一二と見えるが、
人品
(
ひとがら
)
といい男ぶりといい草履取には惜しいものだな」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
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まアあなたは親切な人ですことね……お増は
蔭日向
(
かげひなた
)
のない憎気のない女ですから、私も仲好くしていたんですが、この頃は何となし私に突き当る様な事ばかし言って、何でもわたしを
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
蔭日向
(
かげひなた
)
などが思うように行かないので、さらに洋画をやり出したのですが、洋画でも絵は平面のもので、そっくり丸写しに実物を写すには工合が悪いので、今度は彫刻をやり出しました。
幕末維新懐古談:69 馬専門の彫刻家のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
歎かひしずむ
蔭日向
(
かげひなた
)
、——ああ海の
主
(
ぬし
)
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
仕事ぶりに
蔭日向
(
かげひなた
)
というものがないという点ぐらいは認めてやる者があってもよかろうと思われるが、それすら無いというのは、証跡がかくれてしまっているのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
面
(
つら
)
を並べて、ひょろひょろと
蔭日向
(
かげひなた
)
、
藪
(
やぶ
)
の前だの、
谷戸口
(
やとぐち
)
だの、山の根なんぞを練りながら今の唄を唄いますのが、三人と、五人ずつ、一組や二組ではござりませんで。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この通り
蔭日向
(
かげひなた
)
がなかったのですが、こうして旅へ出てみると、この親切さが全く骨身にこたえる。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
南は
暖
(
あたたか
)
に、北は寒く、
一条路
(
ひとすじみち
)
にも
蔭日向
(
かげひなた
)
で、房州も
西向
(
にしむき
)
の、
館山
(
たてやま
)
北条とは事かわり、その裏側なる前原、
鴨川
(
かもがわ
)
、古川、
白子
(
しらこ
)
、
忽戸
(
ごっと
)
など、
就中
(
なかんずく
)
、
船幽霊
(
ふなゆうれい
)
の千倉が沖、江見和田などの海岸は
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“蔭日”で始まる語句
蔭日陽