草深くさぶか)” の例文
そのほか、うつくしいちょうがはなにとまっていたり、へびがひかからだをあわてて、草深くさぶかなかかくすのもありました。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
東京から稼ぎに出ますんですと、まだ取柄はございますが、まるで田舎俳優やくしゃですからお恥しゅう存じます。田舎も貴下あなた草深くさぶかと云って、名も情ないじゃありませんか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くるまは、きふ石磈路いしころみちに、がた/\とおとててやますそ曳込ひきこんだが、ものの半町はんちやうもなしに、あがぐちの、草深くさぶかけはしさかるのであるから、だまつてても其處そこまつた。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その死骸しがいいぬころのしかばねおなじく、草深くさぶかい、野原のはらのすみにうずめられてしまった。そして、そのひとの一しょうは、わってしまったのであるが、かれ霊魂れいこんだけは、どうしてもかばれなかったのです。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)