あえ)” の例文
而して燕王の豪傑の心を所以ゆえんのもの、実に王のの勇往邁進まいしん艱危かんきを冒してあえて避けざるの雄風ゆうふうにあらずんばあらざる也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
父忠兵衛も牧も、少女の意のす所をさとっていたが、父ははばかってあえて制せず、牧はおそれて咎めることが出来なかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
誣服は吾あえて受けんや。ここを以て十六日書判の席に臨んで、石谷、池田の両奉行と大いに争弁す。吾あえて一死を惜しまんや、両奉行の権詐けんさに伏せざるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
が、私の思うままを有体ありていにいうと、純文芸は鴎外の本領ではない。劇作家または小説家としては縦令たとい第二流を下らないでも第一流の巨匠でなかった事をあえて直言する。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
今日肯来訂酒盟 今日 あえて来たりて酒盟しゅめいむす
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あえ霓裳げいしょうきょくを数えんやいな
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
われ聞く、天朝たたかいおこすの策ありと、小邦また敵をふせぐのあり。あにあえみちひざまずいて之を奉ぜんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかしの名取に至っては、そのあえ軽々かろがろしく仮借せざる所であるらしい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
故にその人物の長短について、あえて一概に論ずべからざるものあるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
行也こうや いずくにぞ あえいやしくもせん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)