肉桂にくけい)” の例文
紫檀したんや、黒檀こくたんや、伽羅きやら肉桂にくけいなぞを送つてゐたものだが、その後、日本の鎖国の為に、帰国出来なくなつた日本人が、此の地に同化した様子で、墓碑の表なぞに
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「おお、かあさんや、」とおとうさんがった。「あすこに、綺麗きれいとりが、こえいているよ。がぽかぽかとして、なにもかも、肉桂にくけいのようなあま香気かおりがする。」
茯苓ふくりやう肉桂にくけい枳殼きこく山査子さんざし呉茱萸ごしゆゆ川芎せんきう知母ちぼ人蔘にんじん茴香ういきやう天門冬てんもんとう芥子からし、イモント、フナハラ、ジキタリス——幾百千種とも數知れぬ藥草の繁る中を、八幡知らずにさ迷ひ歩いた末
その中からは銀杏いちょう、椿、山茶花さざんか、藤、肉桂にくけい沈丁花じんちょうげなぞの実も出て来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
松吉、杉作の家の裏手には、二抱へもある肉桂にくけいの大木がありました。
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)
林のなかは浅黄いろで、肉桂にくけいのやうなにほひがいつぱいでした。
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
肌のあさぐろいニウのたくましいからだや、時々、肉桂にくけいをしやぶつてゐたニウの口臭がなつかしく、仏印での生活がいまでは、思ひがけない時に、富岡の胸のなかにつぱい思ひ出を誘つた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)