聖壇せいだん)” の例文
舞台には、このとき聖壇せいだんが設けられた。白い布でおおい、うしろには衝立ついたてがおかれ、それには奇怪なる刺繍絵ししゅうえがかけられた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こんどは、お寺の中の、神さまの聖壇せいだんの前にも、たてさせようとしました。けれども、ぼうさんたちはいいました。
そして仏教ぶっきょう叡山えいざんにおけるがごとく、ここに教会堂きょうかいどうを建て、十聖壇せいだんをまつり、マリヤの讃歌さんかをたたえて、朝夕、南蛮寺のかわったかねが、京都きょうとの町へもひびいていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聖壇せいだんにこのうらわかきにへを見よしばしはしよくひやくにもまさむ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
と、見れば円型えんけいをなした室内の正面には、大きな十字架をかけたきゅうがあり、その翕のまえには、聖壇せいだんがつくってあり、その聖壇のうえに黄金の壺がおいてある。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夕方になって、役僧やくそうが、夕べのかねを鳴らすために、教会の中へはいっていきました。ふと見ると、聖壇せいだんの前に、アンネ・リスベットが、ひざまずいているではありませんか。
聖壇せいだんのまえ方六メートルばかり、ぽっかりと床に大きな穴があいていて、そのなかをのぞいてみると、数十メートルのはるか下に、黒ずんだ水がはげしくうずをまいていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
カレンは聖壇せいだんの前にひざまずいて、金のさかずきをくちびるにもっていくときも、ただもう自分の赤いくつのことばかり考えていました。赤いくつがさかずきの上にうかんでいるような気がしました。