罷在まかりあ)” の例文
かつは主だったる有志はじめ、ワキツレ囃子方はやしかたまで打揃い、最早着席罷在まかりある次第——開会は五時と申すに、既に八時を過ぎました。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我々は当時、芝三田の四国町の薩摩邸に罷在まかりある、但し、薩州の藩士ではないぞ、当分、あれに居候をしている身分の、天下の浪士じゃ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つとめし大岡忠右衞門と申者は目今たうじ何役なにやくを致し居るやと御尋おんたづね御側衆おそばしう申上げるやう大岡忠右衞門儀いまだ山田奉行勤役きんやくにて罷在まかりある旨を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御存じの如くそれがしは三ヶ年濃州に罷在まかりありて信長の処置を見覚えて候ふが、心のはやきこと猿猴えんこうの梢を伝ふ如き振舞に候へば三田村まで御陣替あらば必ずその手当をつかまつり候ふべし。
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
日本につぽん罷在まかりあ眷族けんぞく蛇類へびども、かの
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくてもなお、我等がこの宇宙の間に罷在まかりあるをあやしまるるか。うむ、疑いにみはられたな。みひらいたその瞳も、直ちに瞬く。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本の地に罷在まかりあ眷族けんぞく蛇類へびども
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
是より引返されよと申せば兩人の檢使けんし答る樣御巡見樣よりの御差※さしづとあれば仔細しさいも有之間じく候え共拙者共役儀やくぎに候へば此處に控へ罷在まかりあり重役共の下知次第引取るべしよつ直樣すぐさま引返ひきかへし候儀は御差※に隨ひ難しと申ければ小左衞門は是は御道理ごもつともなる儀某し早々重役衆に御たつし申べし沙汰の有までひかへあれと云すて駕籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朱の盤 これは岩代国会津郡あいづごおり十文字ヶ原青五輪あおごわのあたりに罷在まかりある、奥州変化の先達せんだつ允殿館いんでんかんのあるじ朱の盤坊でござる。すなわち猪苗代の城、亀姫君の御供をいたし罷出まかりでました。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「唯今、秋谷に罷在まかりある、すなわち秋谷悪左衛門と申す。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)