ほつ)” の例文
刀の柄糸つかいとほつれを見つけて、それを気にしてつくろいだすと、いじればいじるほど解けて来て、果ては、しまつが悪くなったので、糸切歯をあててプツンとかみましたが
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やや有りて彼はしどなくベットの上に起直りけるが、びんほつれしかしらかたぶけて、カアテンひまよりわづかに眺めらるる庭のおもに見るとしもなき目を遣りて、当所無あてどなく心の彷徨さまよあとを追ふなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おつぎはみゝひゞ太鼓たいこおときながら、まだほつれぬかみすこくびかたむけつゝ兩方りやうはう拇指おやゆびまたかはがはりにたぼかるうしろいた。おつぎはあせぬぐつてさつぱりとした身體からだ浴衣ゆかたた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
心の腐ッた持ちぬしの手にあれば、柄糸もしょうがぬけてほつれ出すか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)