練磨れんま)” の例文
精もこんも吟味の練磨れんまに打ちこんで、こうも身を痩せさせているのは、しゃれや冗談でやっているのではありません。多寡がおっこちた鶴一羽。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
精悍せいかんなる練磨れんまの士が、突如として、その中を、短槍刺撃たんそうしげきを得意として、縦横無尽に突いてまわり、ために一人の武者をして
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝等天鼓のうたうを聴け、元来は名もなき鳥の雛なれども幼少より練磨れんまの功むなしからずしてその声の美なること全く野生の鶯と異れり、人あるいは云わん
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一心不乱に写生の技を練磨れんまし、習得し、練磨するに従ってその人の精神も向上してゆくということ。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「あるいは立ち木をかたきと呼び、あるいは岩を平四郎と名づけ」、一心に練磨れんまを積んだのである。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
太夫の手にもとどまらで、空にあや織る練磨れんまの手術、今じゃ今じゃと、木戸番は濁声だみごえ高くよばわりつつ、外面おもての幕を引きげたるとき、演芸中の太夫はふとかたに眼をりたりしに
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俳句の修業はその過程としてまず自然に対する観察力の練磨れんまを要求する。
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
おおいにその技を練磨れんましたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
出す気もなく関口作兵衛の体から武道の練磨れんまが出てしまった。掴まれた腕頸をぐっと下げて、大きな気搏きはくを与えると、浪人の体は、大地へ背をたたきつけていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
練磨れんまだ。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)