経糸たていと)” の例文
いつも白と紺と藍との三色を用い、経糸たていとは必ず麻にして、ひとえに丈夫を心掛けます。野良や山での仕事着として申分もうしぶんありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
これは支那の河西かせいの名産でございまして、経糸たていとには羊の梳毛すきげをつかい、緯糸よこいとには駱駝らくだの毛を使って織りますんでごぜえまして、シャッキリさせるためには
顎十郎捕物帳:03 都鳥 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
機の上には、経糸たていとと云ふものになる沢山の糸を次ぎ次ぎに順番に並べる。そして織り手の足で踏む足台に推されて、交る/″\此の糸の半分が下りると残りの半分が上る。
カセは布を織る経糸たていとたばねたもので、その糸を桛枠かせわくというやや大ぶりなわくにとってから、染めたり色を合わせたりたりするので、糸のかんじょうにつごうのよいように
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ちゞみの糸四十すぢ一升ひとよみといふ。上々のちゞみは経糸たていと二十よみより二十三よみにもいたる。但しをさには二すぢづゝとほすゆゑ、一升の糸は八十すぢ也。布幅ぬのはゞ四方に緯糸よこいともこれにしたがふてあはせざれば地をなさず。
その経糸たていとに十六世紀ロンドンの汚物、野蛮性を習性として持ち、その緯糸よこいとに「タンバアレン」の光彩や「ヴィナスとアドニス」の技巧に熱狂的な愛着を持つ、そういう頭脳の織物というものは
経糸たていとの切れし時の外機械を停むる事なし。
織工 (新字新仮名) / 根岸正吉(著)
女手がないのか、ぶざまにつぎをあてたつぎだらけの古帷子ふるかたびら経糸たていとの切れた古博多の帯を繩のようにしめ、鞘だけは丹後塗たんごぬりだが中身はたぶん竹光……腰の軽さも思いやられる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)