紫色むらさき)” の例文
昨夜ゆうべ草原くさはらにねていて、そらかがやいているほしをながめたが、そのほしのかけらのように、うつくしく、紫色むらさきひかっているいしでありました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
折々雲裂けそら破れて紫色むらさきの光まばゆく輝きわたる電魂いなだまの虚空に跳り閃く勢い、見る眼のひとみをも焼かんとす。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朝少し早く出かけて、茅舎ほうしゃ林園の、尚紫色むらさき濛気もやに包まれてる、清い世界を見ながら、田圃道を歩く心地の好いこと、それだけでも、獲物はすでに十分なのです。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
「これはめずらしいいしだ。」といって、どうかってくれないかとたのみました。少年しょうねんは、いしよりもっと自分じぶんいのちがたいせつだと、温泉おんせんきのことをおもって、主人しゅじんうつくしい紫色むらさきいしってやりました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)