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紫白
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しはく
金砂子の
覆輪を取った
螺鈿鞍に、燃ゆるような
緋房をかけ、銀色の
轡に
紫白の手綱。——甚内の眼は射られた。
もろもろの陰は深い
瑠璃色に、もろもろの明るみはうっとりした
琥珀色の二つに統制されて来ると、道路側の
瓦屋根の一角がたちまち
灼熱して、
紫白の
光芒を
撥開し
紫白の
手綱を、
左手に引きしぼり、
右手に使いなれた
無反りの一
剣をひっさげた龍太郎は、声もたからかに
バサッと
幣をきって、
直垂の
袖をたくしあげ、四方へ
弦をならす
式をおこなってから
紫白ふた
色の
細かい
紙片をつかんで、
壇の上から
試合の
広庭へ
雪のようにまきちらす。