紛乱ふんらん)” の例文
意見の衝突やら紛乱ふんらんが始まる。熱意の冷却が分解作用を呼ぶ。そして第二の段階へ、事態は目に見えぬまに推移してゆくのである。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各地の鹿島踊歌のうち、武州ぶしゅう小河内のものには紛乱ふんらんがあり、全くちがったコキリコ踊とつながって、もう意味が取れなくなっている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その風が、颶風つむじかぜのようにさっ四辺あたりの枯葉を捲き上げました。紛乱ふんらんとして舞い上る枯葉の中に立った竜之助は、今その墓から出て来たもののようであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この紛乱ふんらんした人間の隠遁性と何物をも恐れない暴逆な復讐心とが
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
しかもこの驚愕きょうがく紛乱ふんらんの間に、刻々と暮色は迫るし、傾きかけるを追って、浅野の臣下たちには、捨てて措けない急務の処理がいくつもある。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彦十は、日吉に分る程度に、斎藤一門の内訌ないこうと、美濃の紛乱ふんらんしている実状とを、ざっと、次のようにいつまんで語った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何分、かくいう私などは、身長く紛乱ふんらんの京都にあって、時勢の中心にはおりながら、かえって魚に河が見えないように、新しい時流にはくらい気がします。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紛乱ふんらんはいよいよ紛乱を見るであろう。漢室四百年の末期相まっきそうはようやくここに瓦崩がほうのひびきをたてたのである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美濃みのの斎藤家紛乱ふんらんの後、明智城をのがれて、越前へ避けていた当時無名の光秀だったのである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(この人こそ、虚無と紛乱ふんらんと暗黒のちまたにまよう現世界の明しとなる大先覚ではなかろうか)
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
試合場しあいじょうのさわぎはいよいよ紛乱ふんらんして、母衣馬ほろうま目付めつけがものものしくかけまわり、なにか、番組急変ばんぐみきゅうへん太鼓たいこらしい合図あいずが、ふいに、ドーンと鳴ったので、忍剣にんけん小文治こぶんじも、ハッと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから、天正十年、信長の死によって、一時天下紛乱ふんらんのすきに乗じて、北条や徳川の群雄が、さかんに小国のりをかせいだ折も、小国ながら真田一族も、その尾について、領土をりひろげた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう紛乱ふんらんちまたのことを、思うてみるだけでもわずらわしかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ウーム……では、戦国に戻って天下は割れる、紛乱ふんらんする」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)