紙幟かみのぼり)” の例文
頼み彌陀如來すくはせ給へと口の内今ぞ一期と看念かんねんなし水淺黄色みづあさぎいろあはせの上に切繩きりなはかけ馬の上にしばり付られ眞先には捨札紙幟かみのぼりを立與力同心警固けいご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
例えば真白い木綿達磨もめんだるま紙幟かみのぼり、かなかんぶつ、高燈籠たかどうろうといったようなものを誰が持ち来たすともなく持ち来たして押立てる。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
文治が先に立って江戸橋へ向って参りますと、真先まっさき紙幟かみのぼりを立て、続いて捨札すてふだを持ってまいりますのは、云わずと知れた大罪人をお仕置場へ送るのでございます。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
... 働く鬼の女房にょうぼに、」源「枕探しの鬼神きじんとやら、」菊「そういうお主が度胸なら、明日あすが日ばれて縄目にあい、」源「お上のお仕置受ければとて、」菊「ひまゆく駒の二人づれ、」源「二本のやり二世にせかけて、」菊「離れぬ中の紙幟かみのぼり、」源「はては野末に、」菊「身は捨札、」源「思えば果敢はかない、」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紙幟かみのぼりを押立て、模造大御所で納まり返って、あたら金銭と時間をつぶし、いい年をした奴が、戦争ごっこをしてみたところで、何が面白れえ——
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
先頭に紙幟かみのぼりを押立て、一頭に二つずつ、大きなたるをくっつけて都合六駄ばかり——それを馬子と附添がついて米友の前へ通りかかりましたのを見かけて、米友が
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
身にはやれ衣をまとい、背中に紙幟かみのぼりを一本さし、小さな形の釣鐘を一つ左手に持って、撞木しゅもくでそれを叩きながら、お角さんの舟をめがけて何かしきりにうなり出しました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)