トップ
>
糊口
>
くちすぎ
ふりがな文庫
“
糊口
(
くちすぎ
)” の例文
こういう有様であるから、とても
普通
(
なみ
)
の小供のように一通りの職業を習得するは思いも寄らず、
糊口
(
くちすぎ
)
をすることが
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
でありました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
アンヌ・ハヸランド女史も、鼻がよく利くといふので、ある香料研究所に雇はれて、どうにかその日の
糊口
(
くちすぎ
)
が出来るやうになつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一番多いのが巡礼乞食で、これらは
糊口
(
くちすぎ
)
のために廻って歩くので冬分はこの大塔へ来て居りますが夏になればチベットの方へ出掛けて行きます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その流れを堰く
網代木
(
あじろぎ
)
のように女の腕一つで見事自分の
糊口
(
くちすぎ
)
をしてみようという意地も張りも逆立って参ります。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
黒猫「どうしてなか/\、
私
(
わたし
)
なんざあ、
自分
(
じぶん
)
で
自分
(
じぶん
)
の
糊口
(
くちすぎ
)
をしなきやあならないんですからやりきれやせんや」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
その人は巴里に集る外国人を相手に仏蘭西語を教えて、それを
糊口
(
くちすぎ
)
としているような年とった婦人であったが、英語で講釈をしてくれるので岸本には好都合であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わたし一人だけの
糊口
(
くちすぎ
)
はいつでもできますから。どうか恩知らずだなどとお思いくださいませんように。あなたはそれほどお情ぶかい方でしたら、どうぞこのお金は……
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
病人に
灸点
(
きゅうてん
)
をして困らぬながら
糊口
(
くちすぎ
)
の
生業
(
なりわい
)
もし、夜は静かに写経などして、ひとり暮しの気易さに馴れてからは、持病も久しく起らないし、この秋は、体もめっきり若返ったふうである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いざとなれば
天秤棒
(
てんびんぼう
)
を肩にあてても自分一人の
糊口
(
くちすぎ
)
はできると多寡をくくっていたものの、何を楽しみにそんな事をして生きて行くのかということを、彼はこの頃になってしみじみと考えさせられた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頭と口とは
大分
(
だいぶん
)
の
距離
(
へだたり
)
があるので、頭では容易に
糊口
(
くちすぎ
)
の出来ない世の中だが、鼻は直ぐ近所にあるので、口を養ふのには都合が善かつたものと見える。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼が自分を延ばして行くということの為には、
先
(
ま
)
ず
糊口
(
くちすぎ
)
から考えて掛らねば成らなかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ある人は極度のヒステリックな状態に
堕
(
お
)
ちた。その人は親切と
物数寄
(
ものずき
)
とを同時に兼ねたような同胞の連に引立てられて、旅人に身をまかせることを
糊口
(
くちすぎ
)
とするような独逸の女を見に誘われて行った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“糊口”の意味
《名詞》
どうにかこうにか生計を立てること。
(出典:Wiktionary)
糊
漢検準1級
部首:⽶
15画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“糊”で始まる語句
糊
糊塗
糊付
糊気
糊刷毛
糊紅
糊細工
糊精
糊附
糊屋