窓帷カーテン)” の例文
窓帷カーテンをあけて、みつ子は窓から庭を見降した。やはらかな朝の日射が、ふかぶかと花壇の草花にふりそゝいでゐる。
香水の虹 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
僕は気のせいか、或かすかな物音を——窓ガラスを誰かが極めて静かに叩いている様な物音を聞いた様に思ったのです。僕は立って窓帷カーテンを開けてみました。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
擽るような五月の軟風が咽せかえるばかりの草いきれを孕んで来て、かるく、白木綿の窓帷カーテンを動かしていた。
都会地図の膨脹 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
けれどもつぎあいちやんはまへのつかなかつた窓帷カーテンところました、其背後そのうしろにはほとんど五しやくぐらゐたかさのちひさながありました、あいちやんはそのちひさな黄金こがねかぎ其錠そのぢやうこゝろ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そっと玻璃窓内をうかごうたときに、内部の深緑色(その晩は天鵞絨びろうどのような黒味をおびていた。)の窓帷カーテンがどうした途端であったか片絞りをされて二寸ばかり開いていたのであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
そよ風が窓から窓帷カーテンをゆすって流れ込んで、そして新鮮な朝日のかげは青々と鏡の中の父の顔に漲っていた。
父を失う話 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
そして薄いレースの窓帷カーテンを時々優雅な人影が横切った。
アンドロギュノスの裔 (新字新仮名) / 渡辺温(著)