窓外そうがい)” の例文
スピードはいよいよ殖えて、それから十秒のちには、成層圏せいそうけんに達していた。窓外そうがいの空は月は見えながらも、だんだん暗さを増していった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
母とあによめは物珍らしそうに窓の外をながめて、田舎いなかめいた景色を賞し合った。実際窓外そうがいの眺めは大阪を今離れたばかりの自分達には一つの変化であった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時々、ヘッドライトに照された羽虫はむしの群が、窓外そうがい金粉きんぷんのように散るほか、何んの変った様子もなかった。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
T機関士は不思議に思ってうしろを見た。客は依然として身うごきもしないで窓外そうがいを眺めている。
飛行機に乗る怪しい紳士 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
買って来ると彼は窓外そうがいの庭の中程にある小さな池の中に放した。
鴨の喜劇 (新字新仮名) / 魯迅(著)
といわれて大原立って窓外そうがい
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
白木は窓のところに立ち、カーテンの蔭から、例のステッキに似せた軽機銃の銃口じゅうこう窓外そうがいにさし向けたまま、石のように硬くなっていた。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お延の気を利かして外套がいとう隠袋かくしへ入れてくれた新聞を津田が取り出して、いつもより念入りに眼を通している頃に、窓外そうがいの空模様はだんだん悪くなって来た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
窓外そうがいを見ると、空は相変らず、どんよりと曇っている。畠には、小麦の芽が、ようやく三、四インチ伸びている。ようやく春になったのである。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
洞窟どうくつの壁がうごきだした。窓の外を、ふかがさっと通りすぎた。間もなく窓外そうがいは、まっくらとなった。三角暗礁を出たのである。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「まだ飛行機は見えないようですな」たおされるような窓外そうがいへ首を出したのは、例の私立探偵帆村荘六にほかならなかった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この場の光景は、何者かが窓外そうがいにしのびより、寝ている龍子に銃丸の雨を降らしたことを物語っていた。射ったのは誰だ。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
パンパンと音がして、ヒューッと銃丸じゅうがん窓外そうがいから、おキミの頭をかすめて衝立にピチピチと当った。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
窓外そうがいから弾丸を射ちこんだとすれば、その犯人は、なんという射撃の名人だろうか。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「どうした」と辻永は私の背について窓外そうがいを見た。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)