突放つきはな)” の例文
意地の悪いスフィンクスは折角せっかくここまで連れて来ながら、その鼻の表現を隠して人間を五里霧中に突放つきはなしました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうだっていいヨと突放つきはなされながらしかもその作品を生かすべく、その作品固有のものとして生まれ出るわけだが、このもやもやしたものを各人の鑑識によって具象化する
翻訳遅疑の説 (新字新仮名) / 神西清(著)
と云って突放つきはなされた時は身体が痺れて文治の顔を呆気に取られ暫く見て居りましたが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
思ひ出して心を改ためよと云て此家の下男に追放おひはなすべしと渡すに下男どもは面白おもしろ半分手取足取引摺ひきずりゆき宿はづれにて突放つきはなしければ盜人はいのち辛々から/″\這々はう/\ていにて逃去たりさて又半四郎は夫より宿屋を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
親の乳房にすがっている所を、無理に無慈悲な人間の手に引離されて、暗い浮世へ突放つきはなされた犬の子の運命が、子供心にも如何にも果敢はかなく情けないように思われて、手放すに忍びなかったのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
男は突放つきはなして又駈出かけだそうとした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
突放つきはなされて、安兵衞も伊兵衞も悦びまして、栗林の間へ逃げ込みましたが、吉原土手で仙太郎に逢った侍は心有るものゆえ、ぱらって逃げましたが、国分の束は心がないから
と云いながら取りすがるのを、新吉は突放つきはな
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)