てい)” の例文
奉行のていが、真に、あなたを愛し、愛する娘を、あなたにくれる心なら、なんで将軍をかくもたびたび、死地の苦戦に駆り立てるのか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あくる朝、友の強ゐてとゞむるをさま/″\に言ひ解きてていのぼる。旅の衣を着け、草鞋わらぢ穿うがち、藺席ござかうぶればまた依然として昨日きのふの乞食書生なり。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
岸ニ登リ旗亭きていニ憩ヒ、主人ニ前駅ヲ距ルコト幾許いくばくナルヤヲ問フ。曰ク八丁余ナリト。立談ノ間蒼然タル暮色遠クヨリ至ル。従者ヲ促シテていニ上ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ていの弟に正道せいどうという者があった。その名のごとく彼は正しい人間であったので、兄の非行を見るに見かねて、数十里の遠いところへ立ち退いてしまった。
二本りゃんをきめたのが殿様なら、目ざしはみんな殿様だ! なんだい! 三社まえでだって、頼む時はあんなにていのいいことを並べやがってそのために人がひどいめにあってるのに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そうして、途中でていよく主人の位牌をこしらえて、主家へ戻って参りました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
宋江も弓を払って、他意なきを示し、共に、謀計はかりごとをしめし合せて、奉行のていを城外へ誘い出した。そしてこれを殺し、程の娘を、城中から奪ったのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして、首尾よく東平府を陥したので、宋江は官の倉庫を開かせ、またていの私有財物なども、すべて沢山な米や穀類と共に、これを車馬に積んで梁山泊へ運ばせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)