直訴ぢきそ)” の例文
そこへ又後から貞盛は将門の横暴を直訴ぢきそして頂戴した将門追捕の官符を持つて帰つて来たのである。これできはめてあざやかに前後の事情は分る。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
其処で長左衛門様の御先達おさきだちで朝廷へ直訴ぢきそと云ふことになつたので御座りましたよ、其れを村の巡査が途方もうそツぱちを吹聴ふいちやうして、騒動が始まるなんて言ひ振らしたので
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
遂られよと申送りしかば松本まつもと理左衞門も餘儀よぎなくかしこまるおもむ返答へんたふに及びおき夫より三五郎を呼出し汝支配しはいの奉行を差越さしこし御家老外記げき殿へ直訴ぢきそに及び候段不屆至極ふとゞきしごくの奴なりと眼玉めだま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その折象はお役人の手抜りを直訴ぢきそしようとまで思つたらしいが、役人といふものは chacanas よりも長い爪をもつてる事を思ひ出したので、すつかり絶念あきらめてしまつた。
家老中へ直訴ぢきそに及び甚だ不屆ふとゞき至極に付入牢申付べき奴なれ共古主こしゆ九助が事の願ひ忠義らしく聞ゆる故村役人に預け遣はしたり然るに又右體みぎていの儀を申出るだん不埓ふらちなり村役人共其奴を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わきまへぬ申條牢舍申付べき奴なれども彼老ぢうより忠義の者と申越されし故村役人へ屹度きつと預けおく此上直訴ぢきそにも及ぶ時は村役人共屹度きつと申付るとしからし歸しければ三五郎は殘念には思へども今更仕樣しやうもなく寥々すご/\と村役人にともなはれ我が家へこそは歸りけれさて又九助は晝夜ちうや嚴敷きびしく拷問がうもん牢問らうどひかゝ骨節ほねふしひしげるばかりに弱り果今は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)