目皺めじわ)” の例文
祖母おばあさん、一所いっしょに越して来ますよ。」当てずッぽに気安めを言うと、「おお、そうかの。」と目皺めじわを深く、ほくほくとうなずいた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二度まで、そう云いながら、かれは飯のあと白湯さゆくちの辺でふウふウましては、近衆の者へ、目皺めじわで微笑して見せた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぽんと、丸めた紙の頭を順にたたくと、手だか足だか、ふらふらふらとねる拍子に、何だか、けばだった処が口に見えて、とがって、目皺めじわで笑って、揃って騒ぐ。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
内のよしすだれをサラとかかげて、白髪のおうながふと半身をあらわした。つづれの帯に半上着はんうわぎ、貧しげなこと、山姥やまうばといってもよいが、かすみ目皺めじわあかくち、どこやら姿態しないやしくない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おうなを見れば、媼の目皺めじわ。荒くれを見れば荒くれの眉。かなしみ、よろこび、哀楽あいらくの色。女性にょしょう餓鬼がきも貴人も乞食こつじきも、仮面めん打ちの目にはみなありがたい生き手本でござりますれば」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ニタリと、しかし、こう、何か苦笑にがわらいをしていそうで、目も細く、目皺めじわが優しい。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、秀吉は、よろこびを、目皺めじわにえがいて、限りなく、二使の労を謝した。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、目皺めじわを寄せ、頬を刻んで、妙にまぶしそうな顔をして
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)