ぬすみ)” の例文
旧字:
しかし貧乏人に人間の義務といふものを教へてつたり暮しの立つ様に家業を見つけてやつたりして、貧に迫られて、ぬすみをしない様に世話をしてやれば
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
生きて行くことが出来る丈の手当すら与へないで、仕事は一人前を吩付いひつけると云ふのは、隙さへあつたらぬすみでもかたりでもして命をつなげと云ふにひとしいとも云ひ得る。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
家禄はありながらかくなりゆくは、穀潰ごくつぶしとも知行ちぎょうぬすみともいうべし。(『太平絵詞』)
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
といった。お辰というのは、のちぬすみをして捕えられた旗本青木弥太郎あおきやたろうしょうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
物忘れする子なりともいい、白痴なりともいい、不潔なりともいい、ぬすみすともいう、口実はさまざまなれどこの童を乞食のさかいに落としつくし人情の世界のそとに葬りし結果はひとつなりき。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「安心しな、姉さん、心に罪があっても大事はない。私が許す、小山由之助だ、大審院の判事が許して、その証拠に、ぬすみをしたいと思ったお前と一所になろう。婆さん、媒妁人なこうどは頼んだよ。」
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あすは他人がぬすみをします。