画帖がじょう)” の例文
旧字:畫帖
ずっと前に同じような断片群にターナーの画帖がじょうから借用した Liber Studiorum という名前をつけたことがあったが
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
右は故鷲津毅堂の所蔵なりし趣、すぐる御通信中斎藤君の大金をてゝ加納屋より得られたる画帖がじょうも本は毅堂の所有品なりしとの事。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
主人は客がこの方面の興味に乏しい様子を見て、再び話をの方へ戻した。ろくなものはないけれども、望ならば所蔵の画帖がじょうや幅物を見せてもいいと親切に申し出した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして自分の心持ちをひときわ謙遜けんそんな、そして執着の強いものにし、粘り強い根気でどうかして山をそのまま君の画帖がじょうの中に生かし込もうとする、新たな努力が始まると
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
が、ぼくぼくと一しょに行った室生犀生くん画帖がじょうなどをしめし、相変あいかわらず元気げんきはなしをした。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
去歳こぞの冬江戸庵主人画帖がじょう一折ひとおりたずさきたられ是非にも何か絵をかき句を題せよとせめ給ひければ我止む事を得ず机の側にありける桐の丸火鉢まるひばちを見てその形を写しけるが
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しまいに違棚ちがいだなの上にある画帖がじょうらしい物を取りおろしてみようかと思ったが、その立派な表紙が、これは装飾だから手を触れちゃいけないとことわるように光るので、彼はついに手を出しかねた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、やむを得ない場合だけは必ず画帖がじょうなどにこう書いていた。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
第二は卑俗なる俳優の画帖がじょうを作るに画工は『小倉おぐら百人一首』の如き古典の体裁を取りたる事なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
歌麿は三枚つづき五枚続また七枚続の如きだいなる板画を制作したる後、一枚絵にてその数六枚七枚十枚十二枚、時には二十余種にて一組の画帖がじょうとなるべきものをおびただしく描きたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)