猿廻さるまはし)” の例文
天成の詩人に向ひて生中の小理窟を指南せむは、猿廻さるまはし與二郎に聞きかぢりの老莊が教説き聞かせて一時の惑を釀すに同じと。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
堤坊どてうへのあのやなぎ切株きりかぶこしをかけてさるのひかへづなにぎつたなり、俯向うつむいて、ちひさくなつて、かた呼吸いきをしてたのがその猿廻さるまはしのぢいさんであつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ちやうどまち場末ばすゑむでる日傭取ひようとり土方どかた人足にんそく、それから、三味線さみせんいたり、太鼓たいこらしてあめつたりするもの越後獅子ゑちごじゝやら、猿廻さるまはしやら、附木つけぎものだの、うたうたふものだの
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あのさる—あのさるもと飼主かひぬしであつた—老父ぢいさんの猿廻さるまはしだといひます。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)