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父鳥
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ちちどり
母鳥は、三
羽の
子供を
見るたびに、
父鳥にひと
目でも
見せてやりたく
思いました。それは、
畢竟、むなしい
願いであると
知りながら……。
あちらを
見ると、こんもりとした、
高いかしの
木が、
野原のまん
中に
立っていました。
彼らの
父鳥は、その
木のいただきにとまって、さえずったのです。
子供たちは、
思い
思いのことを、
母鳥に
訴えるごとく
語りました。そして、
正しい
父鳥が、
罪もなく、
殺されるとは、どうしても
考えられなかったのです。
「きっと、そうだろう、
忘れていた
山奥の
林や、
父鳥や、
母鳥のことを
思い
出したのだよ。」と、
兄さんが、いいました。
兄さんも、いつしか、やまがらは
帰ってこないと
思ったのでした。