さわ)” の例文
夜半よわの海鳴りと共に血のさわぎのまない折はあっても、悲しいとか淋しいとか、今の身を観じたことは一度もなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町中に育ったわたくしはこういう賑わいの中へ入ると、自分の家にいるよりも自分の家に居ついた気持になり、くつろいでさわぎ度くて仕方がありません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
屋根やねをはがれたトタンいたと、屋根板やねいたが、がたん、ばり/\と、かけつたり、りみだれたり、ぐる/\と、をどさわぐと、石瓦いしかはらこそばないが、狼藉らうぜきとした罐詰くわんづめのあきがらが、カラカランと
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と心はわくわくさわぎ立つが、どういってよいものやら、いって悪いものやら、黙然もくねんとしている人は、いつまでもつれなく機会をつかませてくれない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ/\この子は何をするのかと思ったら、踊りでおさわぎかい。楽しい仲じゃないかいなって、ほ、ほ、むこうも蝶ちゃんにとってママ更の相手ではないと見えるね」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ふたつの腕をつよくんで、暴風のようにさわぐ胸を、締めつけた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)